姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




「……ねえ、地面に下ろして。

いい加減、危ないわ。

屋根って言っても、あちこち劣化してて、歩くと割れそうなのよ」

「ダーメ。

君みたいのは、隙を突いてすぐ逃げるんだ。

しかも、やたら遠くに」


「ケチ。

……ところで今の時間は、なに待ちなの?」
 

小夜子の質問に、銀司は、はたと気が付いた。
 
自分はなんて馬鹿なんだろう。

……何も、律儀に吸血鬼など待たなくていいのだ。
 
さっさと小夜子を襲うなり噛み付くなり喰うなり、好きにすればよかったのだ。


「……君、墓穴掘ったな」
 
銀司は意地の悪い笑みを浮かべた。
 
本当に、悪い悪い顔だった。

「え?」
 

銀司は、油断した小夜子の手を引き、無理矢理に覆いかぶさった。

乙女のピンチである。