姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③

 


小夜子は、屋根の上にへたり込んだ。
 
改めて自分のいる場所を見てしまい、足がすくんだのだ。
 
今いるのは、地上から遥か離れた屋根の上。

しかも縁の方である。

「ふうん、まぁいいや……」
 
銀司は興味なさそうに座った。

欠伸をして、自分の頬の傷を指でなぞる。
 
血が、だらりと指に付いた。

……やはり、塞がるのが遅い。

これがまともに当たっていたら、と思うとぞっとした。

銃など、取り上げてしまえばよかった。


「……痛いの?」


小夜子が尋ねた。

それが不意だったので、一瞬銀司は固まった。

「……大した傷じゃないさ。

なに、舐めてくれんの?」


「絶対やだ」

「なら、訊くなよ」

「何で、訊くくらいもいけないのよ」

「……何か、調子狂うな」
 
銀司は、手で額を押さえた。
 
変な頭痛がする。