姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




街から離れた工業地帯。

その一帯には、潰れてから久しい倉庫が立ち並んでいる。

(話には聞いてたけど……結構、迫力があるのね……)
 

不況の所為なのか、いつになっても買い手が付かない倉庫群。

ここは昔、事故で死んだ作業員の幽霊が出るのだと、心霊スポットとしても有名だった。


「……このへんでいいか」
 
小夜子は狼男・銀司に背負われ、ある倉庫の屋根の上にいた。


「え?」
 
銀司は、小夜子を下ろした。

「――ちょっ……ここ屋根の上っ!」

「うん、この高さなら逃げられないでしょ」

「逃げないから、普通に地面に下ろしてよ! 

落ちたら死ぬわ!」
 

小夜子の必死の叫びを、銀司は軽く流して笑った。