街から離れた工業地帯。
その一帯には、潰れてから久しい倉庫が立ち並んでいる。
(話には聞いてたけど……結構、迫力があるのね……)
不況の所為なのか、いつになっても買い手が付かない倉庫群。
ここは昔、事故で死んだ作業員の幽霊が出るのだと、心霊スポットとしても有名だった。
「……このへんでいいか」
小夜子は狼男・銀司に背負われ、ある倉庫の屋根の上にいた。
「え?」
銀司は、小夜子を下ろした。
「――ちょっ……ここ屋根の上っ!」
「うん、この高さなら逃げられないでしょ」
「逃げないから、普通に地面に下ろしてよ!
落ちたら死ぬわ!」
小夜子の必死の叫びを、銀司は軽く流して笑った。



