姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③

 


小夜子は、それすらも全然気にせず、毎日を楽しそうに謳歌する彼女が羨ましかった。

青子が、大好きだった。

「……小夜子、この辺?」

「もう少し、あの尖がり屋根の近くまで飛んで!」
 
エリアルの首に回した腕に、つい力が籠る。

エリアルは何も言わなかったが、途中で何度も気付いて、その度小夜子は小さく「ごめん」と謝った。


「気にしないで。……それより、その後の連絡は付かない?」

「うん、青子さん携帯見てないみたい……電車の中だから、とかだったらいいんだけどね……」
 
彼女が今どこにいるのか……。

それが分からない事が、一番怖かった。

もう、手遅れなのではないか。そう思うと、寒気がした。

「小夜子、乙矢さん、そろそろ着地するよ」

「うん、なるべく人気のないところでな!」

 
乙矢が注意を促す。

エリアルは、そのくらい分かってますよと言いたいのを堪えて、大人しく「はい」と言った。