姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




茫然となっていた俺はろくな抵抗も出来ず、

すぐさま自衛隊みたいな服を着た大人の男達に取り押さえられて、

変な薬を嗅がされて眠ってしまった。

気が付くと、車の中の檻に入れられていた。

受け入れがたい現実だった。悪夢のようだった。

だけどその日から俺は、両親と日常を失い、

テミスの元で『治療』と『正しい教育』を強制的に受けさせられる事になったのだった。

最初に受けたテストで、俺には一般常識が欠落している事が判明し、

再教育によっては、まだ救いがあると判断された為、殺されるような事はなかった。


俺は、テミスに従った。

何よりその時の俺は、幼かった。

単純に、死ぬ事は怖かったし、何が何でも生き延びたいと思っていた。

だからどれだけ意地悪な教官に虐げられても、

理不尽な理由でいびり抜かれても、耐えた。