まさか立ち話で帰るわけじゃないんでしょ、 と姉さんが部屋に入るのを促し、俺はお茶の用意にとりかかった。 姉さんが「お兄ちゃん」と呼び、 俺が「おっちゃん」と呼ぶ人。 山戸乙矢は、俺達の遠い親戚だ。 だけど昔、俺達は一緒に暮らしていた。 両親を亡くした彼が、高校に入学するまでうちに引き取られていたのだ。 というかそれは、今考えてみれば十年以上も前のことだ。