「どうして、顔が動物なのかな……?」

「お父さん、いつもそうだから……」
 
何か、自分はまずい事を言っただろうか。

俺が不安になって下を向くと、「マスクかな」と担任は苦笑して離れていった。
 
これが、自分が何か他の子と違っている事を意識し始めた、最初だった。

けれど、俺がはっきりそれを「まずい」と感じたのは、それから数年後の事。

初めて家に連れて帰った友人を、母親に殺された時だった。

仲のいい、友達だった。

でも母には、そうは見えなかったらしい。

自分がいつもそうするように、俺が「獲物」を家に段取り良く誘い込んだくらいにしか思っていなかったに違いない。

もう本名も思い出せない――皆から「たっくん」と呼ばれていた少年は、

その日からしばらく、我が家のメインディッシュになった。

俺は、大変な事になったと思いつつも、その日は普通にご飯を食べた。


『ステーキ』を、『シチュー』を、『ハンバーグ』を……。