姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③




「ああ、ああああっ……!」
 
姉さんが、がっくりと膝をつき、叫んだ。
 
エリアルが、姉さんの名前を呼びながら肩を揺すったが、姉さんは反応をしない。

パニック状態だった。
 
俺も、どうしたらいいのか分からなくて、ただおろおろしていた。

もどかし過ぎて、苦しいほどだった。
 
そんな中、おっちゃんは冷静だった。

「――小夜っち! 先回りすれば間に合う、場所は!?」
 
明確な質問によって、姉さんは正気を取り戻した。

「『アルト』……南口にある、バーだって……」

「よし、それさえ分かれば大丈夫だ!」
 
ぽつり、ぽつりと。でも、しっかりと。姉さんは、計算した。

しかし、その顔は絶望に歪む。


「でも、今からじゃ難しいかもしれないわ……

だって、ここから学校まで、最低でも一時間はかかる……!」