「……『横浜』って聞いたから、懐かしくなっちゃったよ。

あの時はまだ、あんたは生きてたってのにね。

それで毎日、いらない騒ぎをして、

あんたは散々僕を困らせてたんだ」
 
エリアルは、墓石を軽く指先で小突いた。

ただ、大変だった思い出のはずなのに、

何故か口調は柔らかく、エリアルは微笑んでさえいた。


「まあ……今は、まるで僕があんたみたいになってるけどね。

それでいて、ちゃんと『昔の僕』みたいなのだっているんだ。

あはは。孝っていうんだよ。

いつか、僕の弟になるだろう少年だ……」