乙矢が気付いていない振りをしていたのを、 見抜けなかったのが悔しいらしかった。 「住んでたとこが火事になったのは本当だよ。 ……火を使う輩に、ちょっと復讐されかけてなあ」 さらりと自然に言ったが、 もちろんそれはただの放火魔ではないのだろう。 聞いただけでもぞっとしたが、そんな事は気にしない乙矢は、 呑気にけらけら笑い始めた。 「まさか、同棲してたとはなあ」 「おっちゃん、俺もいるんだから『同居』って言ってよ」 孝が、眠そうに眼を擦って訴えた。