朝だ
朝が来た
いつも通りの朝
昨日の不安さえ拭う眩しい光
私はそれを遮光カーテンの隙間から見ていた
スクールバスに乗って登校する学生たち
老人、ベビーカーを押す若い女は歩いている
朝日を受けて輝いた人間達は、私に今日は日焼け止めを塗ってお出かけでもしてみようかなと思わせた
クローゼットを開けてどの服で出掛けようかなと考えていれば、部屋のドアを叩かれた
時間的にユキノだろう
どうぞ、と返事をすればユキノはドアを開けた
「麻穂様 朝食の準備が整っております。」
『わかった、今行く』
頷きながら返事をする
と同時に、あることを思いついた
『ねぇ、お兄ちゃんの所にはもうご飯は持って行った?まだなら私が行ってもいい?』
突然の申し出に驚いた様子もなくユキノは言う
「構いません。ですが透様は昨晩も遅くまで起きていらっしゃったご様子。持って行くと言っても置くだけになるでしょうが いいのですか?」
『いいの。キッチンにあるでしょ?持って行ってから朝食にするね』
大きく頷きくとユキノは一礼して去っていった
再びクローゼットを物色しながら私は思う
起きてないのなら揺すって起こしちゃおうかな
昨日パニックを起こした私を抱き上げてくれたのはお兄ちゃんかもしれない。
火事のことをそれとなくききたい
避ける理由もききたい
伯父さんは昨日帰ってきていない
今日も帰っては来ないだろうし、きくなら今日当たりだろう
これが善かどうかわからないけれど、善は急げ、だ
あとで出かけることを考慮して普段着になってしまっている中等部の制服ではなく普通の服に着替え、キッチンへと走った

