———あの頃俺は、まだ中学一年生で。

変に大人ぶってたけど、まだほんの十三歳のガキだった。
凛兎は隣に住む幼馴染ってやつで、物心ついた時からいつも一緒にいた。
凛兎は小さい時から強がりで、泣き虫で、寂しがり屋だったから
俺がそばにいないといけないと思っていた。思い込んでいた。
ガキだった俺は、俺にしか凛兎を守れないと思っていたんだ。


『なあ、凛兎。キスしたことある?』


中学にあがってすぐの頃、周りが恋だとか彼女だとかで盛り上がっていて、
俺は出来心からそんなことを凛兎に聞いた。


『…あるわけないじゃん。馬鹿じゃないの。』
『…してみる?』
『…それって、好きな人とするものでしょ?』


まだ十一歳の凛兎の方が俄然大人だったと思う。
それから俺は、かなりの自信過剰だった。
うざいくらいに。