「こんなに美味しいご飯、久々に食べた。」
嬉しそうに食事を頬張る凛音くん…ではなく、お兄ちゃん。
突然お兄ちゃんが現れたことに、頭が追いつかない。
…しかも今日の帰りに助けてくれた人が、お兄ちゃんだなんて。
変な偶然もあるもんだな…
今までずっと一人っ子で生きてきたから変な感じがする。
「寮で美味しいご飯食べてたんでしょ?」
「やっぱ親の愛情ってのが無いからなー。」
「またまた、上手いこと言って。」
お母さんが笑う。
家族でご飯なんて、いつぶりだろう。
お皿のからあげを見つめながら考える。
お父さんが亡くなってから?
その前も両親が忙しくていつも一人だったんだっけ?
…あれ、でも。
小さい時、いつも遊んでくれていた誰かがいたような…?