「…凛兎はさ、小さい頃のこと覚えてないの?」
「小さい頃?…うーん、覚えてない。何でだろう。」
「…そっか。…俺さあ、小さい頃、すっごく好きなやつがいたの。」
「…ふうん?」
突然の告白に、少し複雑な気分になる。
「いつも俺にくっついてきて、強がりのくせに泣き虫で。
笑った顔が堪らなく可愛くて。…ずっと守ってやりたいって思ってた。」
お兄ちゃんは懐かしむように、空を見上げた。
「そいつがさ、ちょっと色々あって事故に遭いそうになってさ。
俺が守ったんだけど、俺が入院してる間に引っ越したんだよね。
…会えなくなっちゃってさ。」
花火が始まるアナウンスが遠くで聞こえる。
周りがざわざわし始める。
その子のことを、思い出しているんだろう。
お兄ちゃんが、わたしの方を向いた。
「けど……やっとそばに居られる。」
どーん、と夜空に綺麗な花が咲いて、周りから歓声が上がる。
