「できたよ。似合うじゃなーい!」
お母さんの笑顔を見て、わたしも少し笑った。
やっぱりお母さんがいることは、幸せなこと。
ありがとうとお礼を言って玄関に向かう。
「凛兎」
「ん?」
お母さんの声に振り返る。
「凛音くんは、本当にいい子だから。助けてあげてね。」
わたしは少し不思議な気持ちで頷いた。
…急にどうしたんだろう。
玄関の戸を開けると、お兄ちゃんが外で待っていた。
人には浴衣を着ろと言っておいて、本人は普通の服を着ている。
「…浴衣じゃないし。」
「持ってねーもん。浴衣は女の子だけで十分。」
「なんだそれ。」
「凛兎、やっぱ似合ってる。…行こうか。」
お兄ちゃんに手を引かれて歩き出す。
夕日が綺麗。世界がオレンジ色に輝いている。
周りには浴衣を着ている女の人たちが沢山いる。
はぐれないように、しっかり指を絡めた。
お兄ちゃんはいつもみたいに、くだらない話を沢山してくれる。
