八月。夏休み真っ只中。
高校二年生のわたしの頭の中に、勉強なんて言葉は存在しない。
とは言え部活もやってないから暇で仕方ない。
おまけに照りつける太陽で脳みそが溶けそうだ。
わたしは右手に持ったアイスにかぶりついた。


「太るぞ。」


後ろから意地の悪い言葉が飛んでくる。


「一つくらいで太らないよ。甘くないやつだし。」
「お前それ三本目だろ。」
「バレてたか…」


お兄ちゃんは冷蔵庫から炭酸飲料を取り出して、飲み始める。
あの旅行から翔太くんは家に来ていない。
お兄ちゃんは彼に連絡をしているそうだけど、無視されているらしい。
芽依に翔太くんのことを一通り話すと、やっぱり納得した上で諦めたくないみたいだった。
芽依は強いな。…でも旅行は失敗だったな。
アイスを食べながら後ろにひっくり返る。