君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「凛兎ってキスすると眠くなるの?」


もうすでに止まりかけている頭にお兄ちゃんの声が響く。
好きだなあ、そんな言葉がふわふわと脳内をよぎる。
もう一度唇が重なって、お兄ちゃんの舌がわたしのに触れて、思わず体を揺らした。
気持ちいい。ぞくぞくする。遠のいていく意識の中、そんな気持ちになる。
舌が触れ合う初めての感覚に、自分でも聞いたことのない声が出る。


「…なに、気持ちいい?」


湿った唇が離れて息を吐くと、お兄ちゃんがわたしの頰を撫でた。
何故か急に寂しくなって、お兄ちゃんの服の裾を握る。
それに気づいてか気づかないでか、彼はわたしを起こして抱き締めてくれた。


「…泣くなよ、」


優しく髪を撫でられる。
…なんで、泣いているんだろう。
お兄ちゃんの腕の中で小さく凛音くん、と呟いた。
それからゆっくり意識を手放した。