「…よ、」 「…え。」 目の前に立っているのは、 さっきわたしを助けてくれた男の人。 「あらー!凛音くん、イケメンになってー!」 「いやいや、奏美さんこそ相変わらず…」 「今日からお母さんって呼ぶ約束でしょ。」 「…はい、母さん。」 後からやってきたお母さんが、 嬉しそうな声を上げる。 そして彼は、あの優しい顔で微笑った。 「…今日からよろしく、凛兎。」 名指しで話しかけられたわたしは、 無言で頷くことしかできなかった。