君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



横を向く翔太くん。
誰にも話そうと思ったことのない過去。
お兄ちゃんにだけ話した中学のこと。
なぜか彼に伝えるべきだと感じた。

わたしは小さく息を吸い込む。



「芽依は、中学の人達とは全然違った。わたしを助けてくれた。
お兄ちゃんだってそう。
いつもわたしを心配してくれた。
ずっと、わたしなんか誰かに愛される価値なんてないと思ってた。
…でも、いるんだよ。たくさんじゃないかも知れないけど。…絶対に。
…わたしは翔太くんのこと、大好きだから。」

「…は、」

「…翔太くんが信じられなくても。わたしも芽依も、お兄ちゃんも。
翔太くん、いつもわたしに自信持てって言ってくれたじゃない。
それが本心からじゃなくても、少なくともわたしは頑張れた。…素直になれた。
…だから翔太くんがホストだろうと何だろうと、大好きなの。」


小さい声で、だけど確信を持ってそう言う。


「…俺、帰るわ。」


呆れたように溜息をついて、翔太くんはそう言った。
少しはわたしの気持ち、届いただろうか。
立ち去って行く翔太くんの後ろ姿を見つめる。

まだ少し涙で濡れる目を拭うと、星がいつもより綺麗に見えた。
ズボンのポケットに入っているスマホのバイブ音が鳴る。
…芽依からだ。