君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「凛兎ちゃんはいいよな、自分の好きなやつと一緒にいてさ。
俺は初めて会ったやつだろうと、どんなやつだろうと、
キスでも何でもしなきゃなんねーんだ。生きていくためにな。」


きっと、さっき翔太くんにキスされた時に感じた痛みは、
彼がいつも感じている痛みだったのかも知れない。
彼はわたしよりもずっと、辛い思いをしているのかも知れない。

…何があったのかはわからないけど。



「…女はみんな一緒って、決めつけないで。」
「は?一緒だろ、馬鹿じゃねーの。」
「ちゃんと向き合ってみないとわからないことだってあるよ、」
「うるせえ!俺に指図すんな!」


翔太くんに思い切り怒鳴られる。
不思議と平気だった。
わたしは彼がもっと、広い世界を見れるようになってほしい。
わたしだって毎日虐められる日々は本当に苦しくて、人間なんて皆同じだって思ってた。

一番可愛いのは自分で、周りの人なんかどうでもいいんだって。

誰も助けてはくれないんだって。

でも、芽依はそうじゃなかった。
お兄ちゃんだってそうだ。
二人ともいつもわたしを一番に心配してくれる。好きだと言ってくれる。



「お前みたいな幸せしか知らねーやつに、俺の気持ちなんかわかんねーよ。」
「…わかるよ。」
「いい加減黙って…」
「わたし中学の時ずっと虐められてた。ずっと独りだった。」
「……、」