君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「ねえ、どこに行くの?」


翔太くんは怖いくらい何も話してくれない。
いつもあんなに元気なのに、今は黙ったままだ。



「凛兎ちゃんさあ、…何で余計なことするかなあ、」


口を開いたと思ったら、急に低い声のトーンで話し始める翔太くん。
こんな声、聞いたことない。背筋に冷たい汗が落ちる。


「俺が何で凛音を居場所に選んだか知ってる?」
「…え、助けてもらったから、…でしょ?」
「ぶっ、…ばーか!んなの嘘に決まってんだろ!」


狂ったように笑い出す翔太くん。
…違う、こんなの翔太くんじゃない。
思わず立ち止まり、逃げようとすると腕を掴まれて石の壁際に追いやられる。


「…逃げんじゃねーよ。」
「な、んで…」
「なあ、凛兎ちゃんって凛音とキスしたことあんの?」
「…な、離して…」
「好きなやつとキスするのって、どんな気持ち?幸せ?幸せだよなあ…」