君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



お兄ちゃんの前で水着って…なかなか勇気がいる。
躊躇っていると、翔太くんがそれに気付いてわたしの前に立った。


「え、…なに?」
「凛兎ちゃんはわからない子だよね。」
「…え?」
「えい。」


翔太くんの言葉の意味を考える間も無く
パーカーのジッパーを一気に引き下ろされる。


「だーかーらー、凛兎ちゃんは可愛いんだから自信持ちって!」
「そうだよ凛兎!自信持って!」
「おっ、芽依ちゃんは分かる子だねぇ。」
「あたしもいつも言ってるんだけど、この子わからなくて。」


翔太くんの言葉に何故か芽依も便乗し始める。
…なんなんだこの二人は。
早くくっつけばいい。
何だか恥ずかしいのも気にならなくなってきた。


「ほら、行こうよ。」


パーカーをシートの上に置くと、お兄ちゃんがわたしの手を引いた。
小さく頷いて、彼に付いて行く。


「俺、ボール持ってきたよ!」
「翔太らしいな。」
「だろー?俺って天才だからな!」


行くぞー!と走り出す翔太くんと、芽依。
二人を追いかけようとすると、お兄ちゃんがそれを止める。