君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「…ねえ、それよりこれ本当に着なきゃだめ?」


キャリーバッグから水着を取り出す。
この間芽依と一緒に買い物をしたときに選んでもらったもの。
淡いピンク色で、小さいフリルが付いている…可愛い水着。
芽依がこれを見た瞬間、絶対これ!と連呼していたから
その場の流れで買ってしまったけど、わたしが着ても似合わない気がする。


「あたしが選んだものを着れないっていうの…?」
「そうじゃなくて…芽依が選んでくれたのは嬉しいけど、
やっぱりわたしじゃ似合わない気がしてきて…」
「そーんなこと言ってないで!凛兎は自分が思ってるより何倍も可愛いんだから。
自信持って着なさい!」


前に翔太くんも似たようなことを言っていたような。



『なんでー?可愛いんだから自信持ちってー。』



やっぱり芽依と翔太くんは気が合うんじゃないかな。
わたしのことを可愛いと言う変な思考回路の二人。
トイレで水着に着替えながら、二人の顔を思い浮かべる。


「ほら、行くよ凛兎!」


芽依の声に慌ててパーカーを羽織った。
ホテルを出て海辺に出ると、流石夏休み。
家族連れが沢山いて賑わっている。

…わたし、今まで海に来たことあったかな。