一時間ほど車を走らせ、ようやく目的地に到着する。
入ったホテルの部屋は本当に綺麗で、
賢吾さんはどれだけ払ってくれたんだろうと心配になる。
窓からはこれから行く海が見える。


「二部屋取ってもらったんだけど…」
「じゃあ俺は凛兎ちゃんと、」
「ばーか。女の子たちと俺たち二人に決まってんだろ。」
「…凛音はケチだ。」
「保護者だからな。」


渋々お兄ちゃんと同じ部屋に入っていく翔太くん。

…それにしてもさっきから、なんで翔太くんはわたしに構うんだ?
翔太くんの裏を探るためとはいえ、芽依のために組んだ旅行なのに。


「ねえ、…翔太さんって凛兎のこと好きなのかなあ…」


部屋で海に行く準備をしていると、芽依がそんなことを言い出す。


「そんなわけないよ。今日の翔太くんなんか変だから。」
「…そうなの?」
「うん。いつもはあんなにわたしのこと推さないもん。」
「…そっか。じゃ、あたし気にせずアタックしてみるね!」


すぐに元気を取り戻す芽依。…流石だな。