「ほら、行くよ。早く車乗って。」
お兄ちゃんの一言で、みんなが車に乗り込む。
運転はお兄ちゃん。
翔太くんも免許を持っているらしいけど、なんだか怖いのでお兄ちゃん。
お母さんが仕事で車を使うから、今回はレンタカーを使うことに。
わたしは勿論助手席に乗り込み、うしろに芽依と翔太くんが乗る。
向かうのは海の近くのホテル。
お兄ちゃんのパパの賢吾さんにおねだりしてみたら、いいところを予約してくれた。
お兄ちゃん曰く、賢吾さんは女の子に弱いらしい。
「あれでよく父親やってるよな。」
運転しながらお兄ちゃんが笑う。
その横顔を見て、わたしも笑顔になる。
「おーい、前二人でいちゃつくなよー。本当だったら俺と凛兎ちゃんが…」
「それ以上話したらぶっ飛ばすからな。妹はやらん。」
「なあーーんでだよーー!」
うしろから聞こえる翔太くんの声。
芽依は、大丈夫だろうか。
鏡越しに目が合った芽依は、小さく笑ってくれる。
多分、大丈夫なんだろう…。
窓から見える景色はすごく綺麗だ。
夏の青空は清々しくて、やっと夏休みだという実感が湧いてきた。