君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「ホストクラブ⁈」
「うん。」


久し振りに芽依と一緒に帰りわたしの家に寄ると、
家の前でお兄ちゃんがお母さんの車を洗っていた。
早速翔太くんのことを聞き出してみると、そんな答えが返ってきた。
…彼のバイト先はホストクラブだそう。


「…翔太の家、色々複雑だから。」
「そうなんだ…」
「なんで?翔太がどうしたの?」
「いやいや!何でもないです!」


どうりで恋愛について色々知っているわけだ。
橘翔太、裏表ない説が消えかける。
芽依は少し静かになってしまった。
そんな芽依を道路まで送り届ける。


「…芽依、なんかごめんね。」
「いや、なんか逆に燃えてきた!あたし頑張る!」


ありがとね、と手を振って元気に帰っていく芽依。
恐るべし安東芽依。
片想いの相手がホストでもめげないとは…