「…お前さあ、…なんなの。」
「…え、」
「…可愛すぎんだけど。」
うるさい、と抵抗する凛兎。
…なんか、あれだわ。
…豪雨の音とか、もう気にならなくなった。
「…でもわたし、…わからない。」
凛兎が、俺の腕の中で肩を揺らす。
「…わたしは、…人を好きになっちゃいけないんじゃないかって。」
「なんで、?」
「…きっとまた、悪いことが起きる。」
鼻をすする音が聞こえて、初めて凛兎が泣いていることに気づく。
きっと今凛兎が考えているのは中学の頃の自分。
俺が唯一知らない、中学の頃の凛兎。
「…凛兎、こっち向いて。」
「…やだ、」
起き上がって凛兎の腕を引くと、凛兎も起き上がる。
そのまま、もう一度凛兎を抱き締めた。
「…俺は、ずっと凛兎の味方。」
「…でも、」
「凛兎が好きだから。」
