君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「学祭の結果はどうだった?」


レポートを進めながら、凛兎に話しかける。


「…優勝した。」
「おお、すげーじゃん。」
「芽依のおかげだよ。」
「凛兎も貢献してたよ。…よかったな。」


少し嬉しそうにする凛兎。
昔はもっと無邪気に笑ってくれた。
いつでもどこでも俺にくっついてきて、
にこにこ笑いながら俺の名前を呼んでいた。
懐かしいな。
今日のぶんのレポートを書き終えると、
凛兎のいるベッドに、俺も入る。


「…まだ起きてる?」
「…うん。」


壁際を向いている凛兎の髪の毛を触ってみる。

…やっぱ変わらないな、昔から。
俺がしつこく言ってたから、今日はちゃんと髪を乾かしたみたいだ。
何だかんだ、素直なんだよな。これも昔から。

俺は昔の凛兎を知っているのに、今の凛兎は昔の俺を知らない。

少し、切ない。
俺は昔から凛兎が好きで、いつも守ってやりたくて。