君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



食器を片付け終わって、風呂に入る。
大学のレポートは今週いっぱいだったか…面倒だな。
そんなことを考えながら風呂を上がる。
頭をタオルで拭きながら鞄から必要なものを取り出し
意を決してレポートに取り掛かると、部屋のドアが開いた。


「…ん?どうした?」


もちろん開けたのは凛兎。
部屋着の凛兎が何か言いたそうに下を向く。


「…あの、」
「まさか外の音が怖くて一人で寝れないとか言うなよ。」
「……ごめんなさい、何でもないです。」


図星だったみたいで、ドアを閉めようとする凛兎。
少し笑って、凛兎を呼び止める。


「…凛兎、」
「…はい。」
「いいよ、一緒に寝よ。」


驚いたように、目を見開く凛兎。


「俺はもう少しレポート進めてから寝るから、先に寝ていいよ。」


そう言うと凛兎は頷いて部屋に入り、ドアを閉めた。
そして恐る恐る、ベッドに入る。
相変わらず外はものすごい嵐で、雨の音が鳴り止まない。