「…ごめん、」


そう、小さく呟く。

高二の冬頃に愛姫に告白された。
俺はその時、父さんへの怒りがようやくおさまった頃で
少し遊ぶくらいなら問題ないと思って、それを受け入れた。

…愛姫はいつも本気で俺のことが好きだった。

俺はと言うと、いつも心のどこかで凛兎を探していた。
自分は最低なやつだと思った。
いつも罪悪感を感じていた。
だから高校を卒業する時、大学を理由に愛姫と別れることにした。
あいつは受け入れてくれなかった。
俺はそのまま奏美さんの家に引っ越してきた。



「…なんか傷つけてばっかりだな、」



自嘲するように少し笑う。
机の上の本棚にある、青いアルバムを取り出して開く。
純粋無垢な笑顔をこちらに向ける、小さな女の子。
…何でこう、いつもうまくいかないんだろう。

父さんのことも、凛兎のことも、愛姫のことも。