「…お前、」
「…言ってるじゃない。あたしは終わったつもりないって。」
少し暗くなってきた部屋の中。
俺は愛姫の肩をゆっくりと押す。
それから小さく溜息をついた。
「俺は戻るつもりないよ。」
「…あたしは本気だよ。」
「他に好きなやつがいる。」
愛姫の目を見て、そう答える。
一人暮らしではなくて、奏美さんの家に住むことに決めたのだってそのためだ。
「愛姫には悪いと思ってるよ、」
「…好きな人って、凛兎ちゃん?」
愛姫の率直な問い掛けに俺は何も言えなくなる。
…なんだよ、家にきた時からわかってたのかよ。
「ねえ、血は繋がってないとは言え、凛兎ちゃんは妹なんだよ!
そんな非現実な人じゃなくて、あたしに…」
「それでも好きなんだ。」
そうだ、この気持ちは誰にも変えることができない。
昔から…俺たちが小さい時から、
守りたいと思うのは、いつも凛兎だけだった。
「…信じられない。」
涙目で部屋を飛び出して行く愛姫。