「…最悪。」

「凛兎ちゃん、めっちゃくちゃ可愛いんだけど!やべえ!な、凛音!」
「うん、やばい。可愛い。ちょっとスカート短いけど。」
「お前、突然兄貴感出すなよ…」


営業開始三十分。
会いたくない二人組が入店する。
…本当に恥ずかしい。
席に通された二人を見て、溜息をつく。


「凛兎、笑顔笑顔!こんにちは、凛音さん!」
「あ、芽依ちゃん。久し振り。これ、翔太。」
「どーも!凛兎ちゃんのお友達?かーわいい。」
「はいっ、安東芽依って言います。お二人ともイケメンですねー!」


芽依の面食いセンサーが翔太くんにも反応したらしい。
あんまり考えたことなかったけど、翔太くんもイケメン部類に入るんだ。
…お兄ちゃんがいつも家にいるから感覚が麻痺しているのかも。


「…ごゆっくり。」
「凛兎ちゃん、」


オーダー品を置いて、戻ろうとすると翔太くんに腕を引かれる。


「店番終わったら一緒に回ろうよ。一階の入口の近くで待ってる。」
「…連絡する。」
「来なかったら発狂するかんね。」


バイバイ、と笑顔で手を振る翔太くん。
お兄ちゃんは少し難しい顔で翔太くんを見ている。
…なんだ?