彼の優しい目が、わたしの目を捉える。
初めて出会った時と同じ。
真っ直ぐに見つめる彼の目から、わたしはまた視線をそらせない。

ゆっくり近づいてくる彼の顔に、思わず目を閉じた。
唇に触れる体温が、わたしの心拍数を上げる。





「……ごめん、風呂入ってくる。」


焦るように、部屋を出て行くお兄ちゃん。
わたしは力が抜けたように、その場に座り込んだ。


頭がくらくらする。うまく息ができない。

…お兄ちゃんに、キスされた。





『凛音の目、見つめてみ。そしたらわかるから。』


さっきの翔太くんの声が聞こえたような気がした。