六月中旬。
もうそろそろ、学校祭シーズンだ。
普通の女子高生にとっては学祭は恋のイベント。
毎年学祭マジックなんてものが起こるくらいだから。

…まあ、わたしには関係ないけど。

そんな時期の学校の屋上は最高の避難地帯。
わたしはいちごミルクのパックを飲みほす。
…芽依にあげればよかった。甘すぎる。


「りーとーちゃんっ」


バーン、とドアを開け放って芽依が屋上に入ってくる。


「遅いよ。全部飲んじゃったじゃん。芽依は毎日よくこんな甘いものを…」
「美味しいから飲んでるんです!凛兎こそ、そろそろ甘いもの克服しないと!」


甘いもの克服なんて無理だ。
チョコレートなんて食べたら死ぬかもしれない。


「そんなことより!こんなところで何してるの?学祭の準備始まってるよ!」
「…どうやったら地球温暖化止められるか考えてた。」
「そんなアホなこと言ってないで行くよー!二年連続サボらせるものか!」
「地球温暖化バカにするんじゃないよ!地球がなくなっても知らないからね!」
「そんなことあたしたちが騒いでもどうにもならないから!」


もうなんの言い合いをしてるんだか、訳わからない。


「学祭は恋する乙女たちのイベントだから、わたし関係ない。」
「関係大ありだよ!凛兎の力が必要なの。」