…不思議だ。
さっきまでの苦しい気持ちが、軽くなっていく。

お兄ちゃんと言えども、先週会ったばかりなのに、
なんで彼といると、こんなに安心するんだろう。

この体温も、匂いも、笑顔も、
なんでこんなに懐かしいんだろう。







『凛兎!』








一瞬、頭に誰かの姿が映った。

…あれ、わたし。
……なにか、忘れているような気が…。




「…落ち着いた?」
「、あ…うん、ありがと。」


お兄ちゃんの声で我に返る。
気付いたら涙は止まっていた。