「…ごめん、こんな話。」
そのまま階段を上ろうとして、お兄ちゃんに腕を引かれる。
「…凛兎、」
突然暖かい体温に包まれる。
…お兄ちゃんに、抱き締められてるんだ。
久し振りの人の体温に、涙が溢れ出る。
「…このこと、他に知ってる人いる?」
「……いない。誰にも言えなかった、から…」
「…つらかったよな、」
優しく頭を撫でられて、
もっと涙が出てくる。
…なんで、こんなに優しいの。
…わたしなんか、優しくされる価値、ないはずなのに。
…なんで。
「…これからは、俺が凛兎のこと守るから。」
え、と顔を上げると
お兄ちゃんが、優しく微笑った。
「…妹を守るのは兄貴の義務だろ?
だから、俺には何でも話して。守るから。」