「凛兎、これからカラオケ行かない?」
「えー…カラオケはちょっと…」
「つれないなあ…」


放課後に、いつも一緒にいる友達に声をかけられる。
出席番号一番、そして学級委員長の安東芽依。
肩までの整ったセミロングヘア。それから綺麗な二重。メイクもうまい。
名前の通り女の子って感じで、すごく可愛い。
学級委員長ってすごく真面目なイメージがあったけど、
芽依を見ていると、そうでもないことがわかる。


「凛兎、たまには髪の毛巻いてみたら?絶対似合うよ!」


ニコニコと可愛い笑顔でわたしの髪の毛を触る芽依。
もちろん彼女はモテる。
入学式のときに席が近くて話しかけてくれたのがきっかけで友達になった。
中学の頃にいじめられていたわたしには、もう友達なんて二度とできないと思っていた。
だからもう一度友達ができるんだ、ってすごく嬉しかった。
芽依は本当に友達思いで、いつもわたしを元気付けてくれる。
わたしと正反対の性格だけど、それでも一緒にいてくれる芽依がわたしは好きだ。


「わたしはいいよ、不器用だし。失敗するから。」
「つまんないのー。」


口を尖らす芽依。それも可愛い。
残念ながら前髪パッツンのストレートが、いつものわたし。


「てゆうか、最近凛兎が遊んでくれなくて寂しいんだけど。」
「そんなことないよ?この間一緒にケーキ食べに行ったじゃん。」
「どんだけ前だと思ってるの!」


来週こそ絶対にどっかに行くんだからねー!と、頰を膨らます芽依。
表情がころころ変わるもんだから、少し笑ってしまった。
気が向いたらね、と芽依に手を振り学校を後にする。