息を切らして、歩道橋を駆け上がった。
相変わらず夕日が町を照らしている。
そこにわたしは、大好きなひとの横顔を見つけた。





「…やっと、見つけた。」


彼はこちらを向いて、驚いたような顔をする。


「…どうした、息切らして。」
「…馬鹿。」

「…は?」


わたしの涙は止まることを知らないらしい。
凛音くんに抱き付いて、その胸に顔を埋める。


「…凛音くんの、馬鹿。」
「、え。」
「…何で教えてくれなかったの?」


凛音くんは戸惑っているみたいだ。


「…思い出したのか?」



わたしの肩を掴んで、顔を覗き込む。
ゆっくり頷くと、彼は大きな溜息をついた。