どの写真にも、無邪気に笑う二人が写っている。

しっかり手を繋いでいたり、
凛音くんがわたしをおんぶしていたり。

…なんでこんなに大切なことを忘れてしまっていたんだろう。
わたしは静かにアルバムを閉じる。

お兄ちゃん——凛音くんはここ数ヶ月、ずっとわたしを守ってくれていた。
わたしが彼のことを覚えていないのにも関わらず。
わたしが昔みたいに笑顔になれるように助けてくれた。
ひとを好きになる気持ちを、思い出させてくれた。


夕日が、窓から差し込む。
わたしは急いで階段を駆け下りると、家を飛び出した。

なぜか急がないといけない気がした。

凛音くんを探して、夕日が照らす町を走る。
不思議と球技大会の疲れなんて感じなかった。
凛音くんとの今までの時間を思い出して、涙が溢れ出す。
走りながら何度も涙を拭う。
もう、喧嘩したことなんてどうでもよかった。





——ただ、彼に会いたかった。
…今すぐに。