君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



『なあ、凛兎。キスしたことある?』



忘れていたけど、初めてのキスの相手も凛音くんだった。
突然そんなこと聞かれて、彼のことを馬鹿呼ばわりして。

…でもわたしの気持ちなんて本人にバレバレで。

ドキドキした。十一歳のくせに、少し大人になった気がした。



いつだって、どんな時だって、
そばに居てわたしを守ってくれたのは凛音くんだった。
お父さんが亡くなって、ショックを受けたわたしを助けてくれたのも
多分凛音くんだったんだ。

でも、そこから記憶はない。

…いや、わたしが封じ込めたんだ。


あの頃のわたしには、お父さんが自殺した事実を受け入れることができなかった。