君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



部屋に入ってくるお兄ちゃん。
自分の部屋に若い男の子がいると言うあり得ない事件が起きている。
普段からちゃんと片付けておいてよかった。
でもわたしの部屋って可愛いものが全然なくて、女子感ゼロだ。
…って、何でお兄ちゃんを意識しなきゃいけないんだ、わたし。

なんだか、調子狂うな…。



「…これ、使っていいよ。」


部屋の押入れから使っていないブランケットをひとつ取り出してお兄ちゃんに渡す。
彼はありがと、と受け取るとわたしを見つめてくる。


「…なに?」
「髪の毛、まだ濡れてる。」
「…いつもこのまま寝てる、けど。」
「はあ⁉︎」


急に腕を引っ張られ、
眠すぎて思考回路が追いつかないわたしは
リビングまで引きずられるように連れていかれる。
お兄ちゃんはソファにわたしを座らせて
持っていたブランケットを投げ捨てると洗面所からドライヤーを持ってきた。


「俺が乾かしてやるよ。」
「いや、…いやいやいやいや、丁重にお断りします。」
「濡れたままじゃ風邪引くだろー?俺に任せろって。」


何でちょっと嬉しそうなんだろう。
もうわたしの意見なんてお構い無しらしい。
既にスイッチを入れてやる気満々だから、諦めて静かにする。
…大人っぽいと思ってたら、急に無邪気になった。
お兄ちゃんの手がわたしの髪の毛を乾かしてゆく。