君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「…でも前にお兄ちゃんが、」
「だーいじょうぶ大丈夫!もう時効だって。」
「時効とかあるの…」
「な、頑張れよ凛兎ちゃん。…凛兎ちゃんにしか凛音は守れないんだから。」


優しい顔で微笑う翔太くん。
…どうしてみんな、同じようなことを言うんだろう。

わたしはお兄ちゃんに出会ってまだ一年も経っていないのに。



「じゃっ、俺は新しいバイトに行くんでここでバイバイです!」
「え、と…」
「そうだ、言い忘れた。…俺も凛兎ちゃんが大好きだから。
凛音と幸せになんねーとぶちギレるからな。」


ひらひらと手を振りながら、歩いて行く翔太くん。
わたしは家に戻る道を歩きながら、翔太くんに囁かれた言葉を考える。



『すべての答えは青いアルバムの中だ。』



一度、見ては駄目だと言われた青いアルバム。
家に着いてから少し迷ったけど、
意を決してお兄ちゃんの部屋のドアをノックしてみる。

反応は、無い。