君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「久し振り、だな。」


彼はそう言って気まずそうに笑う。


「…今まで何してたの?何で無視してたの?何でここにいるの?」

「おいおいおい、落ち着けよ。ちゃんと話すって。」



翔太くんは苦笑いしながら、歩き始める。
わたしはそれを追いかける。


「…俺、ずっと考えてたんだ。凛兎ちゃんに言われたこと。」
「わたし…?」
「そう。俺のこと必要としてる人もいる的なやつ。」



翔太くんはふう、とひとつ息をついた。



「俺ん家さ、昔親父が女作って家出てったんだよな。
そのあと母さんも別の男作って出てった。小学生の俺を置いてだぜ?信じられるか?
で、結局その親父も女に騙されて命落としてさ。」


わたしが想像していたよりも壮絶な家庭事情に何も言えなくなる。