君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「…ごちそうさま。」
「俺、食器洗っておくから置いといて。」
「…ありがと。」


…気が利くお兄ちゃんだ。
いつもだったらお母さんが仕事に行くと、
ひとりでご飯食べて、ひとりで片付けて、
…ずっとひとりだけど。
今日から、違う。お兄ちゃんがいる。
嬉しいような、気恥ずかしいような、変な気持ち。
流しに食器を置いて、わたしはお風呂に入ることにする。


今日はなんだか、色々なことが起こりすぎて疲れた。
帰り道に大智に遭遇しちゃうし、突然家族が増えるし。
…しかもお兄ちゃん、かっこいいし。
家族なのに、変に緊張してしまう。
お風呂を上がって、自分の部屋のベッドに倒れ込む。

…今日が金曜日でよかった。
明日はゆっくり休める。

眠い。
横になると、どっと疲れが出てきて瞼が重くなる。
そのまま眠気に負けそうになった瞬間、
ドアのノック音で目が覚めた。


「凛兎ー…って、ごめん、寝てた?」
「…一応起きてる。」
「ごめん、余ってる布団とかある?
俺の荷物明日届くから、今日はリビングで寝ようと思って。」