君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



「…俺は俺なりに、あいつのためを思って一生懸命なんだけど。」


いつもぶつかっちゃうんだよねー、と
ソファに寄りかかる賢吾さん。
わたしは台所に入り、賢吾さんのためにハーブティを入れる。


「人間なんてみんな不完全ですから。仕方ないですよ。」
「凛兎ちゃん、いいこと言うなあ。」
「…褒めてもなにも出ないですよ?」


はい、とハーブティをテーブルに置く。


「これ、イライラに効くらしいです。お母さんがいつも飲んでるの。」
「奏美が?なら、相当効くんだろうな。」
「そんなお母さんのことストレス人間みたいに言わないでください。」


ははは、と笑ってハーブティを飲んでくれる賢吾さん。
そして全部飲むと、賢吾さんは立ち上がった。


「じゃ、俺はもう行くから。」
「もう行っちゃうんですか?」
「…寂しい?」
「…馬鹿にしないでください。」


もう一度笑うと、賢吾さんは玄関に向かう。



「…凛音のこと、頼むわ。」
「え?」
「あいつが今頼れるの、凛兎ちゃんだけだと思うから。」