「うわ、何でいるんだよ…」
「父親に向かって何でいるとは何だよ。
ちゃんとお土産買ってきたんだぞ!」
「知らねーよ…帰ってくるなら一言連絡しろよな。」
「そんなこと言って本当は嬉しいくせに。」
「…うぜえ。」
お兄ちゃんが階段を上がろうとして、
賢吾さんが呼び止める。
「待て、凛音。…ちょっと話がある。
ごめんな、凛兎ちゃん。ちょっと外してもらえる?」
「あ、もちろんです!部屋に戻ってますね。」
突然真面目になる賢吾さん。
わたしは慌てて階段を上がると、自分の部屋に戻って戸を閉めた。
あんなに真面目な賢吾さん、初めて見たかも。
彼はいつも笑っているイメージがあるから。
何か重大な話なのかな。
しばらく漫画を読んで時間を潰していると、隣の部屋のドアが勢いよく閉まる音がした。
…お兄ちゃん?
怒っているような、腹が立っているような、そんな感じ。
あんな態度のお兄ちゃんも、初めてだ。
わたしは静かに部屋を出て、リビングに戻ってみる。
賢吾さんは難しい表情をして座っていた。
「…何でこう、うまくいかないんだろうな。」
困ったように笑って、
賢吾さんはわたしを見上げる。
