君を知らないわたしと、わたしを知っている君。



何度も手紙を読み返して、散々泣いた。
少し落ち着いてから、誰かが帰ってきた気配を感じて部屋を出る。
手紙のことをぐるぐると考えながら明かりのついたリビングに降りていくと、
ソファに珍しい人物が座っていた。


「やあ凛兎ちゃん。元気だった?」
「賢吾さん!」


お兄ちゃんのお父さんの、賢吾さんだ。
泣いていたのがバレないように、慌てて笑顔を作る。
彼はかけていたサングラスを外すと、ニコニコと笑った。


「お仕事、落ち着いたんですか?」
「いやー…ちょっと急用でね。一時帰宅。」
「そうですか…」
「凛音はまだ帰ってない?」


はい、と言いかけて玄関のドアが開く音がした。
リビングに入ってきたのはタイミングのいいお兄ちゃん。