九月下旬。

そろそろ紅葉が始まってきた。
四季があるからわたしは日本に生まれてよかったと思っている。
…メルヘンだと言われるだろうか。

相変わらず学校は憂鬱で、
おまけに球技大会の練習で
筋肉痛で体がボロボロになってきた。
今日も放課後中バレーボールの練習があり、死にかけながら帰宅する。




…珍しくまだ誰も帰っていないらしい。
誰もいない家に入り自分の部屋にあがると、机の上に一通の手紙が置いてあった。

差出人は…お父さん?
亡くなったお父さんからの手紙?

なぜか震え始める手を抑えて、ゆっくり封を開ける。




"愛する凛兎へ"




最初の文字を見て、涙が頬を伝う。
…わたしお父さんのこと全然知らないはずなのに。

何でこんなに懐かしいんだろう。