逃げ出した男の子を見て、俺も向きを変えた。


『あの…!』


呼び止められて振り返った時に、初めてちゃんと凛兎の顔を見た。
大人になっている。
けど、ちゃんと面影は残っている。
ずっと探していた人が、目の前に立っていた。


『…あの、…助けてくれて、ありがとうございます。』
『いや別に。気をつけて帰れよ。』
『…また、会えますか?』


凛兎の言葉に、驚いたのを覚えている。
…正直にすごく嬉しかった。
凛兎と幼馴染みではなく家族として過ごすことは少し違和感があったけど
また一緒にいられることが本当に嬉しかった。


真実を知ったら凛兎は何を思うだろうか。
俺たちは今の関係のままでいられるんだろうか。

記憶と自分の気持ちが絡み合っていく。
俺はゆっくりと眠りに落ちていった。