「叶わぬ恋程、悲しい物はあるのでしょうか?」

赤薔薇の舞姫がそう言った。

「それはきっと、無いのだろうね。」

青い衣裳の青年が言った。

「憐れな方々。-」

女は宮の上にて舞っていた。
裳や裱(ひれ)は風に乗って翻り、焚き染められた香がふわりと薫った。

「相変わらずだな。」

「ええ、そうでしょう。」

女は歳を重ねようと、何一つ変わらなかった。